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バックボードを使用したプールでの水難救助訓練

 


  バックボードを使用したプールでの水難救助訓練

 日本パラプレジア医学会脊損予防委員会が1990〜92年に全国集計した脊損のデータでは、脊損の頻度は人口100万当たり年間約40人。受傷原因は交通事故44%,高所転落29%,転倒13%,打撲・下敷き 6 %,スポーツ 5 %。スポーツによる脊損の84%が頸髄部であった。種目別では,プールなどの浅い所への飛び込みが22%と最も多く,ラグビー・アメリカンフットボール(アメフト),スキー,柔道,体操,野球などの順。受傷時年齢は,飛び込み,ラグビー・アメフト,体操では10歳代,スキーでは40歳代にピークがあった。地域別では,北海道,東北,中部地方ではスキーによる脊損が多く,それ以外では飛び込みが多かった。一方,1980〜93年の総合せき損センター(福岡県飯塚市)における脊損患者934例のなかでは,7 %がスポーツによる脊損であった。種目別では浅い所への飛び込みが42%と非常に多かったとの報告があります。

 プール内での水難事故では、心肺蘇生法を行う前に傷病者をプールサイドに引き上げなければなりません。意識のない傷病者の中には飛び込みが原因で頚椎損傷を受傷して可能性もあり、また、慌ててプールから引き上げようとした際に、2次的に頚椎損傷をきたすこともあります。

 欧米では傷病者を搬送する際に、バックボード、頚椎カラー(ネックカラー)を用いて傷病者を固定する「全脊椎固定法」が一般化していますが、日本においても最近ようやく搬送時の2次的頚椎損傷防止の観点から救急隊の搬送機材としてバックボードが救急車内に装備されるようになりました。

 兵庫県県内の健康スポーツ関連施設連絡協議会(http://www.health-jp.net/)もプールのある施設に装備するように推奨し、トレーナーの取り扱い訓練を8月24日、26日、27日に兵庫県立健康センターで行う予定になっています。学校関係では、姫路市の安室東小学校の購入以後、NHK「おはよう関西」での紹介もあり、相生市教育委員会は次年度予算の検討を行っており、学校内でのスポーツ時の頚椎損傷防止対策として、職員の意識啓発の意味もあり、急速にバックボードを装備する学校が増えてくるものと期待しています。

 平成15年6月23日、姫路市の安室東小学校でプールでの水難救助訓練を行いました。当校は、TPA活動が非常に盛んな学校で、8年前から毎年、心肺蘇生法の講習会を行っています。

 今年は、かねてから懸案であったバックボードをPTAが購入し、プールでの水難者に対して水中にてバックボードに固定してからプールサイドに引き上げる訓練を行いました。

 当日の模様は、7月4日のNHK「おはよう関西」で記者レポートとして放送されました。小学6年生の児童が,交代でプール中央にあるブロックをつかんで沈み、PTAのお母さんたち4人のグループ単位で児童をバックボードに固定し、引き上げる様子が映し出されています。

 最後に、体重82Kgの男性を4人の女性がプールサイドに引き上げることができるかを参加者の前で試してみましたが、バックボードに固定し、プールサイドへの引き上げも容易でした。

 

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