健康ニュース 平成12年5月9日送付 発行部数 504
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<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ お願い
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<本文>
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▼【TOPニュース】
・兵庫県立健康センターのパーソナルメンバー制は生活習慣の見直しにユニーク性を発揮しています。
 昨年の4月からスタートしたパーソナルメンバー制は、個人個人の生活習慣に根ざした生活習慣病の危険因子の是正を目標にしております。兵庫県立健康センターの専門職員全員が、各々の専門分野を離れ、学校のクラス担任制を採用し、定期的な面談を繰り返し、日常生活の中でじっくりと焦らずにメンバー個人の立場で生活習慣の見直しの意欲を支援したことがすばらしい成果を得ることが出来ました。
 生活習慣を見なおす行動変容は、「生かされている命」を感じた者が行える家族への愛の行動であり、「生きる喜び」の表現です。
 現在、インターネットを介したネット・パーソナルメンバー制も予定しております。
 詳しくは兵庫県立健康センターまで
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▼【連載特集】
「あなたは愛する人を救えますか」その10 仮設住宅に昔の人情長屋を見た
 兵庫県立健康センター所長
  河村剛史
 1997年4月,貝原知事の特命を受け,県立健康センターが中心となって仮設住民を対象に健康づくり支援事業「元気は命の輝き,あなたもラジオ体操を」がスタートした.これは単に運動不足の解消の為だけではなく,仮設住宅における孤独死対策の取り組みある.誰でも知っている昔なつかしいラジオ体操で閉じ込もりがちな独居者に健康であった頃を思い出してもらい,近所の住人とのコミュニケーションの場を提供することが目的であった。
 震災後,被災者の心のケアの問題としてPTSD(心的外傷後ストレス障害)が注目されたが,“閉じ込もり症候群”ともいうべき独居者の孤独死が新たな社会問題として登場した.孤独死は震災で家族を失い,生きる支えを失った独居者が仮設住宅という新たな環境で社会的孤立感を深めた結果であり,自立復興が叫ばれる中,それぞれの家族がまず自分たちの生きることを考えるのが精一杯で,他人のことを考える余裕などなかった周辺環境が多くの孤独死を生む結果となったと考えた。
 思い起こすに震災直後の避難所には,すばらしい人間社会があった.瓦礫に埋もれ,救出された人々がいかに偶然に生じた空間で救われたかという話を聞くにつけ,また,自分自身も含め誰でも命を失う機会があったことを考えるにつけ,今,生きていることは偶然なのだと思える共有感が芽生えた.お互いに命が助かったと思う感謝の気持ちを話し合える幸せが避難所に満ちあふれていた.
 しかし,時がたつにつれこうした「お互い様」の精神は薄らいでいき,まず自分のことを考える,まず家族のことを考える個人主義が台頭してきた.行政の支援も多くのボランティア支援も対被災者,対仮設住人であって,被災者相互の助け合いの機運の熟成,別の言い方をすれば“昔のお隣さん”がより集まった仮設住宅の地域づくり(コミュニティづくり)を支援するものではなかった.その後,260カ所の仮設住宅には,ふれあいセンターを中心とした自治会組織が結成されたが,もともと避難所から無秩序に入居させられた人々であり,その上,経済的自立可能な人々,困難な人々,高齢者,家族の支えを失った独居者などその構成メンバーがバラバラで自治会が軌道に乗るには大変難しい面があった.
 しかし,震災後2年経った頃から仮設住宅環境も,大きく変わった.自力で自宅再建した住人が抜けて,恒久住宅を待っている同じ立場の住人の構成になったこと,仮設住民間の顔馴染みが増えてきたこと,仮設生活の中で心のゆとりが出てきて,孤独死問題にも目を向けるようになったこと,また,自治会の役員改正にて,以前から被災者ボランティアをしていた方々や,自分たちの力で今,何をすべきかの信念を持った献身的リーダが自治会の運営に取り組み出したことなどであった.
  当時,大阪府内,姫路,加古川,芦屋,神戸などの私の訪問した30カ所の仮設住宅の印象は,今,皆が忘れている,挨拶もあり,世話役がいて,お節介おばさんのいる昔の“人情長屋”であった.震災で死ぬ思いをした被災者自身がお互いに助け合い,閉じこもりがちな独居者に辛抱強く声をかけ,共に生きていく仲間として孤独死させない,人情長屋の住人たちが支えあう地域づくりを感じた.震災で家を失い,家族をも失い,死ぬ思いをした住人の集まった仮設住宅にお互いの命を支えあう地域づくりが生まれていることを感じた.これこそ,今後の超高齢社会において,閉じ込もりがち独居高齢者をなくす地域づくりとして社会全体が取り組むべき原点であると感じた.私自身,震災を通して、都市住宅の地域住民同士がお互いに語りあえる町づくりこそ,「お互いの命を支える社会づくり」の第一歩であるという思いを強くした。
 震災後5年が経過し、仮設住宅の跡地は整備さえ、昔,ここに多くの仮設住民が住んでいた名残もなくなっている。現在,火山活動中の有珠山の被災者は同じ町の住民であり、仮設住宅であっても「現在の人情長屋」となり、孤独死の問題は生じることはないと思う。
続く
 バックナンバーにつきましてはセンターホームページ資料ボックス
http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
からご覧いただけます。
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▼【健康づくりワンポイントアドバイス】
・ 姿勢バランスと運動
 姿勢バランスの乱れは、肩こりや腰痛を引き起こすだけでなく、時には歩行運動を困難なものにさえ変えてしまいます。兵庫県立健康センターでは、脊椎矯正には脊椎ストレッチマシーンを利用し、姿勢筋肉のバランスの乱れを是正し、腹式呼吸にて腹筋を鍛え、脊椎ストレッチウォーキングにて全身の姿勢筋肉を鍛える運動を指導しています。
http://www.hyogohsc.or.jp/onepoint/index.html
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▼【センターの話題】
・ 脊椎ストレッチウォーキング大会参加者募集
 住吉川河川敷におきまして、「ワイドABCDE?す」でも紹介されました脊椎ストレッチウォーキングの大会を開催いたします。
 当日は、兵庫県立健康センター 河村剛史所長の「運動と血圧」についての講話、生活習慣病を予防する運動として、県立健康センターが開発した「脊椎ストレッチウォーキング」を紹介します。
 脊椎ストレッチウォーキングは、膝や腰への負担を軽減し、筋力を強化するとともに、体脂肪を減少させる効果もあります。
日時 : 平成12年5月14日(日)    午後1時30分?3時30分
場所 : 兵庫県立健康センター前広場及び住吉川河川敷(5kmコース、3kmコース)
参加費: 500円 (準備の都合上電話等で事前受付をお願いします。当日受付可)
協力 : 兵庫県歩け歩け協会
雨天の場合:健康センター研修室で河村所長の講話と脊椎ストレッチウォーキングの理論説明会
詳しくは:
 兵庫県立健康センター 078-441-2234 または kakimoto@hyogohsc.or.jp
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▼【兵庫県内の話題】
・ 「ひょうご県民交流の船」に河村剛史所長と一緒に参加しませんか
 「兵庫県青年洋上大学」、「ひょうご高年洋上大学」及び「ひょうご県民の船」を一つの船として実施します。県民の皆様に、歴史的にもつながりの深い中国を訪問していただき、交流を深めていただきます。
 河村剛史健康センター所長は、洋上大学講師として参加いたします。洋上では、「健康づくりは人づくり」の講演と夜には「1人で行う心肺蘇生法」の講習を予定しています。
期日:平成12年10月7日(土)?10月15日(日)9日間
訪問地:中華人民共和国(5つのコースを設定)
参加費:17万9,000円より(コース・船室により異なる)
     青年洋上大学参加者は9万9,000円
詳しくは:
 財団法人兵庫県青少年本部 078-360-8581
 財団法人兵庫県国際交流協会 078-230-3260
 財団法人兵庫県高齢者いきがい創造協会 0794-24-3342
 パンフレット(申込用紙)は兵庫県立健康センターにもあります。
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▼【兵庫県外の話題】
・最近の少年凶悪事件の精神状態を「自己形成不全症候群」と名づけました
 5月2日夕に起こった主婦殺人と世間をくぎ付けにした5月4日から5日のバスハイジャック事件は、共に17歳の少年が起こした共通点があり、前者は秀才の凶行であり、後者は秀才,いじめ,不登校、家庭内暴力が背景として上げられています。改めて、自分ではない他人を意識することが自己形成であり、好きなようにさせる家庭、他人には注意もしない無関心な世間が「自己形成不全症候群」の土壌です。これからも同じような事件が起こると考え、先ず、自己防衛の注意が求められる社会に突入しました。
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▼【お願い】
 このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人451件、団体53件の合計504件の方々にご送付させていただきました。
 誠にお手数ですが貴メールアドレスへのメールマガジンの送付停止につきましては、下記の当センターホームページより削除依頼いただきますようお願い申し上げます。
http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
 ご意見、ご要望、記事等のご投稿につきましては、メール等でご送付いただければ幸せです。また、健康づくりに関するディスカッション、質問解決の場としてはメーリングリストを開設いたしております。併せてご利用下さい。
メール mail@hyogohsc.or.jp(hyogohsc@hyogohsc.or.jpにはリメールできません)
メーリングリスト http://www.hyogohsc.or.jp/maillist/frame.htm からhealth_for_all@hyogohsc.or.jp へ入会の上ご利用下さい。
 我々は多くの方々の健康づくりに少しでも寄与できればと考えております。インターネットにつきまして、未熟な我々がメールマガジンを発行できるのも、皆様方のご協力の賜物と感謝いたしております。今後ともご協力、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
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 兵庫県立健康センター
  〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
  TEL: (078)441-2234
  FAX: (078)441-2149
  URL: http://www.hyogohsc.or.jp/
  mail: mail@hyogohsc.or.jp
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