健康ニュース 平成12年9月1日送付 発行部数 587
**********************************************************************
<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ お願い
**********************************************************************
<本文>
---------------------------------------------------------------------
▼【TOPニュース】
・サンTV「健康笑顔」放送のお知らせ
 9月3日(日)8時45分から9時00分、サンTV「健康笑顔」にて、兵庫県立健康センターで撮影収録しました内容が放送されます。今回のテーマは腰痛予防、肩こり予防です。是非ご覧いたたげればと存じます。
・心肺蘇生法普及500人講習会のご案内
 前号でもご紹介させていただきましたが、すでに多くの方々にお申し込みいただいております。今回は小学生のお申し込みも多く、ご家族等でのご参加をお待ちいたしております。
期日 平成12年9月24日(日)
時間 13時00分?15時00分
講師 兵庫県立健康センター所長 河村剛史
場所 兵庫県立健康センター3階体育ホール
料金 無料
申込 要予約 電話(078)441-2234またはE-mail mail@hyogohsc.or.jp
---------------------------------------------------------------------
▼【連載特集】
「あなたは愛する人を救えますか」その14-なぜ、人を殺してはいけないのですか-
兵庫県立健康センター所長
河村剛史
 以前に、心臓病の生徒の命を守るために、学校全体が立ち上がった中学校を紹介した。その学校の名前は相生市立双葉中学校である。1995年に始めた新入生を対象に行う心肺蘇生法は毎年の恒例行事になり、今では3年生が1年生を教える伝統が生まれてきている。今年も一年生の心肺蘇生法講習会「双葉の仲間を救う会」に参加した。最初の一時間は全校生徒の前で各学年からの質問に答える形で話をした。17歳の少年のバスハイジャック殺人事件、通りがかりの家での老婦人殺人事件などの少年凶悪殺人事件が次々と起こっている時期だったので、単刀直入に「現在の少年の凶悪犯罪についてどう思いますか」「なぜ、人を殺してはいけないのか」との質問を受けた。私の小学校時代を振り返れば、筆箱の中には?肥後の守?という小刀をいれて、鉛筆削りに使っていた。時には、山に行って小枝や竹を切って遊び
道具を作って友達と遊んだ経験がある。喧嘩をするときは、木の棒で相手を叩いてけがをさせた思い出もある。しかし、どんな憎い相手でも小刀を使って相手を傷つける発想はなかった。子供の喧嘩も遊びの延長であった気がする。
 この世に生を受けた人間には自我の芽生えに始まり、自己形成時期を得て、「自分とは何者か」を知る「個の完成」を得るのである。赤ん坊がお腹がすいたと泣き出すのも自我の芽生えである。親、家族の絶対愛により無条件で守られていた環境から、保育園、幼稚園と新しい環境の中で、他人を意識することにより「他人でない自分」という自己の存在を認識するのである。学校生活は、まさに他人との関わりの中で築き上げていく自己形成の重要な時期なのである。自分の意見を主張することも、他人に負けたくないと競争心を持つことも、「他人ではない自分」を作る心の活動表現なのである。
 今、多発している少年の凶悪犯罪には、「世の中をあっと言わせることをしたい」「人を殺す経験をしたかった」という犯罪者の言葉の中に、自分の自我のみがまかり通る家庭環境から一歩も外に出ることができず、他人との関わりを避けようとする社会的に孤立した少年の環境が浮かび上がってくる。これは現在の少子化とも無縁でなく、1世代まえのベビーブーム時代のような兄弟喧嘩もなく、親の溺愛を受けた子供には、他人との関わり方のすべを知らず、次第に離れた存在になって来る。こうした環境の中で、他人を意識できない「自己中心」の少年が生まれ来るのである。
 中学校は自己形成のもっとも大切な時期で、中学教師こそはこれからの社会を担う次世代の少年に「命の教育」を教える責任をもっと自覚すべきである。現在の教育に問題があるとすれば、この一点に尽きると思う。今まで400校近くの学校訪問をして多くの先生に会ったが、「命を感じる」教師があまりにも少ないことに、事の重大性を感じる。
 中学生から「なぜ、人を殺してはいけないか」の質問の答えは、「目の前に友達が倒れたら、友達の命を救うために大声で助けてと叫ぶことが出来る人には、人は殺せない」と答えた。心肺蘇生法にて人の命を救う方法を教えることが、「命の教育」の第一歩なのである。質問形式の講演の後、3年生40人が2人ペアーになって20体の人形を使って1年生200人に心肺蘇生法を教えた。上級生が下級生に心肺蘇生
法を教える光景は、どの講習会よりも統制がとれた、効率的な、しかも楽しいものであった。最後に円陣の真中に訓練人形を一体置き、「友達が倒れた。さあ、友達を救うのは誰か」との呼びかに、先を争って飛び込んでくる1年生の姿に明るい社会の希望が見えた。講演者が一番幸せを感じる瞬間である。
 1998年から相生市の教育委員会は、中学校全4校の生徒に心肺蘇生法の講習を行う事を決定した。一年生入学時に心停止したM君も無事、中学を卒業し、同じ市内の高等学校に入学したが、一年生の運動会の時に、再度心停止が見られ、見事に心肺蘇生法にて救命することが出来た。相生市では、中学校、高等学校、自動車学校で心肺蘇生法の講習を受けることになる。中学校での「命の教育」としての心肺蘇生法の講習を受けた次世代の若い相生市民が、これからもM君が命を守ってくれると信じている。
続く
バックナンバーにつきましてはセンターホームページ資料ボックス
http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
からご覧いただけます。
---------------------------------------------------------------------
▼【健康づくりワンポイントアドバイス】
・ヘモグロビンA1cの検査の重要性について
 今年から兵庫県立健康センターの検診項目に新たに加わった糖尿病の指標のヘモグロビンA1cは、梗塞性疾患の重大な危険因子です。ヘモグロビンA1cは、赤血球の成分であるヘモグロビンが血糖(グルコース)と結合したもので、活性酸素の働きによる糖化作用です。別名、グリコヘモグロビンと言います。糖化作用を受けた赤血球は硬くなり、正常な赤血球のように狭い毛細血管内でも形を変えて(可塑性)流れなくなり、また赤血球同士が引っ付き易くなり(凝集)、毛細血管レベルでの閉塞(微小血管傷害)を来します。糖尿病の合併症として網膜症(最悪の眼底出血)、腎臓障害はこれが原因です。赤血球の凝集しやすいために、心筋梗塞、脳梗塞の大きな原因になります。
 正常値の上限は5.8%(全赤血球に対する割合)ですが、5%台の人は糖尿病ではありませんが、生活習慣病予防には食生活の見直しが必要です。赤血球の寿命は120日ですので、1度糖化作用を受けた赤血球は壊れるまで悪影響を及ぼします。
---------------------------------------------------------------------
▼【センターの話題】
・9月のメンバーセミナーのご案内
期日 9月16日、27日
時間 14時45分?15時45分
担当 健康センター健康指導課長補佐 松葉真(管理栄養士)
内容 「食べ方で変えよう!血液性状」-あなたの体内環境正常化作戦-(講話)
料金 健康センターパーソナルメンバー 無料、一般 600円
申込 当日(予約の必要なし)
・ヘルシー料理教室のご案内
期日 9月20日
時間 13時30分?16時00分
内容 血中脂質を下げるためのメニュー
講師 兵庫県食生活改善協会事務局長 金谷滋子 先生
料金 健康センターパーソナルメンバー 1,000円、一般 2,000円
持物 エプロン、筆記用具
申込 先着順(定員30名)
・禁煙通信教育、禁煙メーリングリストのご案内
期間 平成12年9月?平成13年1月
内容 通信教育は郵便、電話を活用して、メーリングリストはE-maiを活用して専門スタッフがあなたの禁煙をお手伝いします。
料金 通信教育 5,000円、メーリングリスト3,000円
締切 9月20日(定員 通信教育 先着順50名、メーリングリスト 無制限)
問い合わせ 電話(078)441-2234またはE-mail mail@hyogohsc.or.jp
---------------------------------------------------------------------
▼【兵庫県内の話題】
・「2000ひょうご健康づくり県民大会」開催のご案内
 知事表彰(健康づくりの部、母子保健の部、栄養の部)や講演( 「人間を考える」-自然との共生- 講師 藤本義一氏)などを実施し、県民の健康づくりに対する意識の高揚を図ります。
期日 平成12年9月12日(火)
時間  13時00分?16時10分
場所 淡路夢舞台国際会議場イベントホール
問い合わせ 兵庫県健康増進課 電話(078)362-3247
・第1回兵庫県医師会健康スポーツシンポジウムのご案内
 健康スポーツ医との新たなパートナーシップを求めて、スポーツ関連施設およびコ・メディカルスタッフに広く呼びかけ、健康スポーツに関する知識と技術の習得向上を図るとともに、新たな活動の場を開拓することを目的として第1回兵庫県医師会健康スポーツシンポジウムを開催します。
期日 平成12年10月19日(木)
時間 14時00分?17時00分
場所 コープこうべ生活文化センター大ホール(県立健康センター東隣)
主催 兵庫県医師会
対象 日医認定健康スポーツ医、健康運動指導士、健康運動実践指導者(健康・体力づくり事業財団)、運動指導担当者、運動実践担当者(中央労働災害防止協会)、管理栄養士、保健婦、理学療法士、養護教諭 等
定員 400名(先着順)
内容
 「生活習慣病予防のための運動・栄養・休養の指導」
  兵庫県立健康センタ?所長 医学博士 河村剛史(県医師会健康スポーツ医学委員会委員長)
 「医師会健康スポーツ医と地域健康増進センターとの連携」
  東京女子医科大学成人医学センター講師 小笠原定雅氏
料金 無料
申込 要予約
 参加希望者は「健康スポ―ツシンポジウム」と明記し、氏名、住所(あればメールアドレスも)、職種、勤務先、年齢、資格(認定番号)を記入の上、郵送、ファックスまたはE-mailで兵庫県立健康センタ?まで
 住所 〒658-0081神戸市東灘区田中町5-3-20
 TEL.(078)441-2234、FAX.(078)441-2149、E-mail mail@hyogohsc.or.jp
締切 平成12年10月12日(木)ただし定員になり次第締切り
問い合わせ 兵庫県医師会健康スポーツ医学係 電話.(078)371‐4114
---------------------------------------------------------------------
▼【お願い】
 このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人533件、団体54件の合計587件の方々にご送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのメールマガジンの送付停止につきましては、下記の当センターホームページまたはメールにてご連絡いただきますようお願い申し上げます。
 また、ご意見、ご要望、記事等のご投稿につきましても、メール(hyogohsc@hyogohsc.or.jpにはリメールできません)等でご送付いただければ幸せです。
 我々は多くの方々の健康づくりに少しでも寄与できればと考えております。インターネットにつきまして、未熟な我々がメールマガジンを発行できるのも、皆様方のご協力の賜物と感謝いたしております。今後ともご協力、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
**********************************************************************
 兵庫県立健康センター
  〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
  TEL: (078)441-2234
  FAX: (078)441-2149
  URL: http://www.hyogohsc.or.jp/
  mail: mail@hyogohsc.or.jp
**********************************************************************


Copyright (C) 2004 Hyogo Vitual Health Science Center