健康ニュース 平成12年12月10日送付 発行部数 621
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<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ 兵庫県外の話題
▼ お願い
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▼【TOPニュース】
・平成13年1月から新しい医療保険制度が実施され、70歳以上は医療費の定率1割を負担
高騰する国民医療費に対して、高齢者層の医療コスト意識を高める狙いがある。折りしも、オランダでは安楽死の合法化法案が可決した。オランダは日本の「介護保険」を1967年にすでに導入した福祉先進国で、高齢者の自立に役立っており、65歳以上の87%が夫婦が一人暮らしで、同居の割合は1.6%(日本49%、1999年)で少ない現状になっている。しかし、高齢者の自立には人生の生きる価値が伴うものでなければ、そこには孤独と絶望があるだけで、現在のオランダで「高齢者の自殺権」が論争されるように暗い社会しか見えてこない。
高齢者医療においても、個人に「自立自尊」の気概を求めなければ, 単なる「生命長寿」の対策となり、日本においても現在の「おばすて山」から「安楽死」に発展する可能性がある。
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▼【連載特集】
「あなたは愛する人を救えますか」その17?中国人の自活に根ざした生命感?
兵庫県立健康センター所長
河村剛史
平成12年10月9日から9日間にわたり「ひょうご県民交流の船」に参加し、中国を訪問した。今回の参加は行き帰りの船内での講演のためであった。青島に到着後、470名の参加者は5班に分れ,それぞれの目的地を訪問した。私は、四川省と湖北省にまたがる中国最大の大峡谷である三峡を3日間のクルーズで下り、途中、劉備、諸葛孔明などが活躍した三国志の旧跡があり、李白の「早に白帝城を発す」の詩
で有名な白帝城も訪問した。この雄大壮観な風景も10年後には、揚子江(長江)の宜昌(ぎしょう)に建設中である世界最大の三峡ダムの完成後に水没する運命になっている。
現在の中国の急速な経済発展は大量のエネルギー消費をもたらし、石油の輸出国から輸入国に転じ、また自国の硫黄成分を多く含んだ石炭のエネルギー消費により硫黄ガスが大気中に放出され、酸性雨の原因になっており日本にも影響を及ぼしている。刀で切り取ったような絶壁が連なっている三峡は、ダムの建設に最適な条件を備えており、三峡ダムの完成により白帝城付近で75m、宜昌で135mの水位が上昇し、長江周辺の住民800万人が居住移転を余儀なくされ、多くの史跡が水没する。三峡ダムによる水力発電量は中国の全エネルギーの8%に相当すると言われているが、無公害エネルギーを獲得するための大きな犠牲を払っていると言える。
観光客が感動する壮大な風景と同時に、わずかの耕地を求めて山頂付近まで耕している周辺住民の過酷な生活環境も目に入ってきた。1ヶ月の平均収入は200元(2600円)との説明を受けた。観光客が先ず戸惑うのは、船着場から観光地までの道すがらで「20元、20元」、「1000円、1000円」と品物を売りに来る物売りの多さである。中には母親に連れられた4、5歳の幼児までが「1元、1元」と扇子を持って近づいて来る。不思議なことに、呼びとめるのは主に日本人で、西洋人にはあまり声をかけないようであった。観光ガイドからは偽物が多いから「不要」と言って断わるように注意をうけていたが、船に戻ってから、「かわいそうだから買ってあげた」、「一生懸命に売りに来るので断わるのがかわいそうであった」などの会話が聞こえてきた。外国人観光客専用の豪華クルーズ船の中で、毎食の有り余る豪華な中華料理を食べている自分自身とのあまりのギャップに、今の日本人であることに感謝の念を抱くと共に身を引き締める思いがした。
上海からの帰路の船内講演で、三峡クルーズで遭遇した多くの物売りのことを取り上げた。かれらは、どんなに貧しくても立派に生活している自活の人々である。かれらは?ものごい?ではない。かれらは、物を売って生活しているのであって、たとえ売り物の価値が二足三文であっても、買う側がお金を出して買えば立派な商売が成立する。買い手と売り手にはお金を介した商売が成立するだけで、そこには対等な人間関係があり、かわいそうだから買ったと思う?恵み?の気持ちは相手に失礼である。
かつて高校2年生の時、父親から商売を継いでほしいとの頼みを、「僕は、10円の物に頭を下げる商売はやりたくない」「自分は医者になるのだ」とはねつけた。意外にも父親は怒りもせずに、「10円の物に頭を下げることが出来ない人間が立派な医者になれない」と言い切った.物を買ってもらい、代金を受け取り、感謝する商売人の当然の行為を蔑んでいた過去の自分を思い出した。
中国人の自活とは、他人に頼らず、国に頼らず、徹底した自己責任に基づいており、家族、一族は強い絆で結ばれている。例えて言えば、池で子供が溺れている場面で、親が「誰か助けて」と叫べば、周りの人は「お金はいくら」と交渉してから救助にあたる。中国では、親が子供を命がけで助けることが当然で、他人に頼めばお金が要求される。中国では年間、3000人以上の死刑執行が行われており、しばしは人権問題が取り沙汰されるが、自分の命は自分で守る自己責任の中国人には、他人のことには無関心なのである。人口13億の自活の中国人に世界のいかなる場所でも生きぬく凄いパワーを感じた。
続く
バックナンバーにつきましてはセンターホームページ資料ボックス
http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
からご覧いただけます。
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▼【健康づくりワンポイントアドバイス】
・中高年男性の心筋梗塞予備軍の簡単な自己判定法:「ウェスト90cm以上、中性脂肪170mg/dl以上の人は今年の正月が危ない」
世界的権威のある循環専門誌「Circulation」誌に、今後の心筋梗塞予備軍の簡単なスクリーニング法が紹介されました。学問的には冠動脈硬化の危険3徴と言われている高インシュリン血症、高アポリポ蛋白血症、小型稠密(small dense)LDL血症の血液検査による危険予備軍の割り出しが必要であるが、この検査費用が高く、時間がかかるために実際的でない。今回の報告では、中高年男性でウェストが90cm以上あり、中性脂肪が170mg/dl以上の対象者の8割が、血液検査で冠動脈硬化危険因子の3徴を有していることが判明しています。
本来なら、これに該当する人は脂肪を燃焼させる有酸素運動を行うことお勧めするが、思い立った運動はかえって危険で、今年の正月はお酒を控えめに、日本伝統食を楽しむことが用心である。運動前には必ず、運動負荷試験を受けるようにして下さい。
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▼【センターの話題】
・平成12年11月12日(日)の「脊椎ストレッチウォーキングin住吉川」イベントは
大盛況
兵庫県立健康センターが21世紀の健康長寿者の「自立自尊」を目指し、提唱している脊椎ストレッチウォーキングを指導しました。 このイベントは神戸市震災復興記念事業の1つとして東灘区区役所、東灘区医師会と兵庫県の共同開催としての高い評価を得ました。 当健康センターが作成した啓発ポスターが消防署、水道局などの神戸市関連施設、東灘警察署・区内派出所、JR、阪急、阪神、六甲ライナ
ーの各駅及び区内みなと銀行支店などに掲示され、県民運動としての脊椎ストレッチウォーキングの名前を多いに広めることが出来た。今後、この事業を県民運動として神戸市などと共同で広めていく良い見本となりました。
脊椎ストレッチウォーキング「毎日歩こう 背筋を伸ばして 今のあなたにもう1,000歩」は、生活習慣病予防のための兵庫県県民行動指標の1つに取り上げられています。
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▼【兵庫県内の話題】
・日本代替・相補・伝統医療連合会議の兵庫県支部設立記念会が平成12年12月2日に発足
21世紀の医療は、「遺伝子医療」、「再生医療」と言われていますが、地球生命体の実態が科学で証明されたに過ぎず、お釈迦さんの手のひらで飛び回っていた孫悟空のようなものです。生活習慣病の名が示す通り、投薬に頼らず、人間に本来備わっている自然治癒力を障害しない生活習慣の見直しが立派な代替療法になります。世界的に人工心臓の開発で有名な連合会議理事長の渥美和彦東大名誉教授は、来年11月1日の淡路夢舞台国際会議場で開催する第23回日本健康増進学会の教育講演をお願いしております。
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▼【兵庫県外の話題】
・コンピュータの入力ミスにて毒物を患者に誤注射する医療事故が発生
12月4日に新聞に掲載された高岡市民病院の記事である。マイクロソフト社では、新入社員の最初の仕事は自分のデスクのパソコンに名前をはじめ、身体のサイズまで個人に関するデータを入力することである。この入力だけで、給料からネーム入り作業服の支給まですべての手続きが完了するコンピュータシステムになっている。ビル・ゲイツ氏は、コンピュータ・システムの唯一の欠点は、入力ミスであり、もし間違っている場合は、入力した新入社員の責任であると話している。
今回の医療事故は入力した医師の責任であるが、はじめから個人の入力ミスを想定した二重、三重のチェック機能のついたソフト作成も求められる。「事故が起こるまでは安全」とした甘えは許されない。
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▼【お願い】
このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人567件、団体54件の合計621件の方々に送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのマガジンの送付停止につきましては、下記メールにてご連絡いただきますようお願い申し上げます。
我々は多くの方々の健康づくりに少しでも寄与できればと考えております。インターネットにつきまして、未熟な我々がメールマガジンを発行できるのも、皆様方のご協力の賜物と感謝いたしております。今後ともご協力、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
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兵庫県立健康センター
〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
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