健康ニュース 2001年4月12日送付 発行部数 732
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<本号の目次>
▼ 第23回日本健康増進学会特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ 兵庫県外の話題
▼ お願い

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▼【第23回日本健康増進学会特集】(平成13年11月1日、2日開催)
・学会長挨拶?:21世紀の新しい健康づくりビジョン「健康づくりは人づくり、国のいしずえ」?
 兵庫県立健康センター 所長 河村剛史

 21世紀の新しい健康づくりビジョンを考える絶好の機会として第23回日本健康増進学会を開催することになりました。20世紀前半は結核を始めとする感染症克服の時代でしたが、戦後の経済復興による生活水準の向上は平均寿命の延長と新たな生
活習慣病の増加をきたしました。誰もが生きがいを感じる健康長寿社会の実現には、今後、新しい健康づくりビジョンが求められています。
 健康づくりを考えていく上で、貝原益軒「養生訓」と福沢諭吉「学問のすすめ」に書かれた先人の思想に大いに学ぶべきものがあります。84歳で長寿を全うした貝原益軒が残した「養生訓」には、「なぜ、人間は長生きしなければならないか」の命題に、「人生にて体得した智慧を世に生かすことが、長生きしてこそ味わえる50歳からの人生の楽しみである」と書かれております。労働することが養生の秘訣であり、養生することを通して、「自らを知る」ことにつながります。生かされている命を感じ、「自分の命は、自分で守る」ことが健康の基本であります。福沢諭吉「学問のすすめ」に書かれている「一身独立、一国独立」には、健康維持は国民の権利ではなく、自ら実践する義務でなければ、国は滅びると述べています。まさに、「健康づくりは国のいしずえ」です。
 長寿の道は、『自立自尊』であり、80歳にして、2本足で真っ直ぐに地に立ち、好きな時好きなことができることが、長寿者の特権であり、長寿の智慧を生かすことこそが世の中を豊かにする社会づくりと考えます。

・内容の概略
1 日本を代表する「21世紀健康づくり」の論客が一同に会します。
 世界的プロジェクトである人間の遺伝子情報の解析(ゲノム解析)は2003年に完了します。ポスト・ゲノム時代を迎えて、人間は幸福になれるのでしょうか。渥美和彦東大名誉教授には、先端医療の先に「魂の健康」を求めた統合医療の世界の流れについて、久常節子慶応義塾大学教授には、厚生行政に長年携ってこられた経験がら生活習慣病予防の主役となる保健行政のあり方について、家森幸男京都大学名誉教授には、世界の食文化による人種間の体質の違いから眺めた生活習慣病につい
て、杉村隆国立がんセンター名誉総長には、がん治療の先端医療の先にあるがん予防の重要性について語っていただきます。
 兵庫県医師会主催の「健康づくりビジョン」シンポジウムでは、日本の今後求める健康指針をまとめ、広く日本に世界に情報発信したいと意気込んでおります。川口雄次WHO神戸センター所長、馬場茂明神戸大学名誉教授、そして私河村との鼎談で
は、21世紀に求める健康幸福感についての夢を語りたいと思っております。

2 「健康日本21」の実現に向けて、行政機関、NPO、民間団体、個人賛同者が集まるオープンな創造的学会です。
 生活習慣病予防キャンペーンを全国展開して行く上で、各種関連団体の調整役としての医者のリーダーシップが求められています。兵庫県医師会はパートナーを求め、目に見える社会啓発を行います。本学会は,こうした大きな?うねり?の震源となり、阪神淡路大震災の震源地から「健康づくりは人づくり、国のいしずえ」の健康ビジョンを発信いたします。

3 情報技術(IT)を駆使し、電脳空間(バーチャル)に情報発信するインターネット学会に挑戦します。
 本学会で話される講演内容をリアルタイムにインターネット発信します。2001年に叡智を集めた21世紀の健康ビジョンをデジタル情報にまとめ、学会終了後も発信を続け、この夢ビジョンの評価を受けたいと思っています。

追伸:http://www.hyogohsc.or.jp/default.htmの「学会予定」をご覧下さい。

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▼【健康づくりワンポイントアドバイス】
・高齢者の低蛋白血症にも注意が必要
 血液中の総蛋白量の正常範囲は、6.5?8.0g/dlで、通常は7.0g/dl以上が普通です。6.5g/dl以下を低蛋白血症と言い、腎臓から蛋白尿がでるネフローゼ症候群や肝臓でのアルブミン合成が低下した肝硬変などの明らかな疾患が有名です。最近、高
コレステロール血症を健康診断で指摘され、油ものを控えるように指導された高齢者や伴侶を亡くされ、毎日の食事バランスが充分でない男性の独居高齢者の中に、6.5?7.0g/dlの程度の軽度の低蛋白血症になる例が増えてきています。脂肪が多い動物性蛋白質の摂取を控えるのは正しいのですが、野菜、炭水化物が中心の食事になり、大豆を中心とした植物性蛋白質の積極的な摂取が不足していることが考えられます。長寿者の多い沖縄では、脂肪抜きの豚肉料理が優れた蛋白摂取源になっ
ています。低蛋白血症は免疫力(免疫グロブリン)の低下を来し、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
 兵庫県立健康センターでは、「元気で、すこやかだ」は、げん(玄米)き(キノコ)で(芋)、す(すの物)こ(コンブ)や(野菜)か(カルシウム)だ(大豆)を基本に、大豆料理からの蛋白質の積極的な摂取を勧めています。独居高齢者には定期的な高蛋白料理の宅配制度が必要になってきます。

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▼【兵庫県立健康センターの話題】
・サンテレビ《健康笑顔》で、『心筋梗塞』“知っていますか 死の四重奏”を放送
 4月15日(日)午前9時45分から10時に上半身肥満、糖代謝異常、高中性脂肪血症、高血圧の取り合わせをすべてもっている場合を、“死の四重奏”と称し、心筋梗塞を高率に発生する予備軍と言われています。今回、血液の流れを直接測定し、日頃から血液をサラサラにする定期的な脂肪を燃焼させる有酸素運動、マグネシウムを含んだ食物および深層水(マグネシウムを含んだ)の予防効果について話します。是非ご覧下さい。

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▼【兵庫県内の話題】
・平成13年度から「健康ひょうご21大作戦」県民運動がいよいよスタート
 平成11年度の策定した「ひょうご健康づくり県民行動指標」を基にして、県民の21世紀の新しい健康ライフスタイルをめざして、県民主体の健康づくりを積極的に推進して行きます。兵庫県下の10県民局に地域住民代表による健康づくり推進協議会を設置し、(財)兵庫県健康財団に統括本部として健康づくり部を置きます。県民行動指標の普及啓発をはじめ、専門家の派遣による健康講座の開催や、休日を活用した健康づくりを勧める地域スポーツクラブの設置促進などの支援策を体系的に実施します。
 こうした新しい方式の県民運動を展開するために、4月1日付にて兵庫県健康財団の会長に家森幸男京都大学名誉教授、健康づくり担当理事に兵庫県立健康センター所長河村が就任いたしました。

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▼【兵庫県外の話題】
・日本循環器学会では本年度から半自動除細動器(AED)検討委員会をスタート
 アメリカ心臓協会(AHA)の心肺蘇生法(CPR)2000年ガイドラインでは、心臓突然死に対して一般市民がAEDを使用するパブリック・アクセスAEDを勧告しております。日本では、除細動は医療行為とされており、医師と救急救命士しか使用できません。既に、世界の航空会社20社が機内にAEDを搭載しております。この先鞭をつけた
のは,アメリカン航空でAEDを全機に搭載し,客室乗務員24000人に300万ドルの教育費を投資しています。最近の英国医学雑誌にその成果の発表があり、過去2年間に13例の機内心臓突然死例に使用され、6例(40%)が完全社会復帰しております。ちなみに日本の航空会社は搭載していません。冠動脈危険因子を持っている方は、海外旅行には事前にAED搭載機かの安全確認を行う必要があります。

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▼【お願い】
 このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人677件、団体55件の合計732件の方々に送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのマガジンの送付停止につきましては、下記メールにてご連絡いただきますようお願い申し上げます。
 我々は多くの方々の健康づくりに少しでも寄与できればと考えております。インターネットにつきまして、未熟な我々がメールマガジンを発行できるのも、皆様方のご協力の賜物と感謝いたしております。今後ともご協力、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

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