健康ニュース 2001年7月3日送付 発行部数 777
**********************************************************************
<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ お願い**********************************************************************
▼【TOPニュース】
・第2回兵庫県医師会健康スポーツシンポジウムの共同開催
平成13年8月23日(木)午後2時からコープこうべ生活文化センター大ホールにて開催いたします。今回は、兵庫県医師会と兵庫県立健康センターの共同開催で行います。健康スポーツ医と学校及び地域スポーツクラブ等における、スポーツ指導者、コ・メディカルスタッフとの連携を図り、医学的見地から安全に効果的な活動ができるようにこのシンポジウムを通じて運動と健康に関する幅広い知識を図っていただきたいと考えております。健康スポーツ医をはじめ、健康運動実践指導者・健康運動指導士・運動指導担当者・管理栄養士・保健婦・理学療法士・学校関係者等の幅広い参加をお待ちしております。また、単位認定の研修で、次の認定が受けられます。(日医認定健康スポーツ医更新2単位・日本整形外科学会認定更新2単位・日医生涯教育講座認定5単位・健康運動指導士2単位・健康運動実践指導者2単位・兵庫県栄養士会生涯学習認定1単位)---------------------------------------------------------------------
▼【連載特集】
「あなたは愛する人を救えますか」?自宅で死ねることの喜び?
兵庫県立健康センター所長
河村剛史平成13年5月21日午後17時30分に義父が永眠した。77歳であった。平成11年8月頃から咳をするようになり、念のため胸部レントゲン線写真を撮った所、気胸と胸水貯留が認められ、精査のため県立成人病センターに入院した。胸腔内視鏡検査を行った所、3リッターの胸水と右肺門部の扁平上皮癌の胸腔内転移が見られ、この時点でステージ3bの診断を受け、今後の胸水貯留を防止するために胸膜癒着術を施すのみで根治術を残念した。
本人、家族には肺癌であったことを告知し、今後は癌と共存する治療方針を確認し合い、体力を消耗する抗がん剤治療を受けないことにした。退院後、徹底した脂肪抜き食事療法と毎日1万歩の歩行運動を行い、下肢筋力の強化を日々の生活目標とした。退院後1年間は毎日、少量の血痰が出る程度で家族旅行も楽しむことができた。しかし、肺癌との共存を目指したものの、血液中の扁平上皮癌マーカは検査ごとに増加し、胸部レントゲン写真でも右胸腔内転移した癌が少なくとも3箇所で大きな影としてはっきりと認められた。胸膜癒着のために胸水は出口を求めて皮下に腫瘤として膨隆するようになり、誰しも肺癌の進行が明らかになってきた。平成13年に入ってからは、次第に毎日の歩行運動後の疲労が激しくなり、冬の寒さも考慮して家の廊下を歩くことにした。幸いにも食欲は本人の生きる意欲を示すがごとく4月半ばまで目立って衰えることはなかった。5月4日の2人娘家族10人が集まった最後となった食事会でも、以前と変わらない食欲があり、家族が驚いたほどだった。しかし、この日を境に寝る時間が多くなり、運動意欲もなくなり、次第に毎食の食卓とトイレだけが歩行訓練になる生活に変化していった。入院せずに自宅看護を行うために在宅看護ステーションに依頼し、5月7日から週2日看護体制をスタートした。5月13日には私の家族と一緒に季節はずれのすき焼きをし、制限していた好きだった肉も食べてもらった。この頃から、痰の量が多くなり、呼吸苦の訴えが多くなってきた。19日の夜には娘家族全員が集まり、最後まで自宅で看病してほしいとの義父の希望と急変しても救急車を呼ばないことを確認した。今後に必要になってくる喀痰吸引器と酸素吸入を依頼しようと考えていた。翌20日の夜中は死を意識した不安からか義母に傍についてほしいと頼み、義母からは呼吸音がゴロゴロといって痰を出せずに、ほとんど眠れなかったとの話を聞いた。
翌朝の訪問看護日の5月21日には朝から訪問看護婦と一緒に喀痰の喀出介助を行ったが、その最中に喀痰の気道閉塞による呼吸停止が起こった。バッグマスクによる人工呼吸により呼吸は回復したものの依然、大量の喀痰があり、掃除機に接続した吸引ノズルによる喀痰の吸引で危機を脱することができたが、意識は朦朧状態が続いた。孫4人を含め家族に危篤を知らせ、全員が集合するまでどうにか生命を保ちたいとの思いがかなったのか、緊急依頼した輸液と酸素吸入を開始したこともあって朦朧状態から意識がしだいに回復し、家族の呼びかけにはっきりと応えるまでに回復してきた。しかし、バッグマスクによる補助呼吸を続けなければ呼吸維持は難しく、気管内挿管、人工呼吸器による延命治療が必ずしも本人にとって幸せではないと判断し、非情にも「これが最後の意識である。観念してほしい」と告げると、義父は現在の置かれた状況をしっかりと認識したのか、「夫婦として一緒になれて幸せであった」と耳元で叫ぶ義母に、声で応えることができない義父は最後の力を振り絞って3回も義母を抱合し、2人の娘にも孫にも抱合し最後の別れを告げた。急変を聞いて駆けつけてくれた4人の訪問看護婦さん一人一人にも握手を求めて感謝の気持ちを表した。
最後の一片の命を振り絞った義父の最後の行為は、死を受け入れ観念した仏の姿にも思えた。そこには、涙と悲しみだけではない、笑いも、喜びもあった。その30分後に家族に見守られながら静かに息を引取った。義父の死に行く姿を間近で見ることのできた子供たちに「尊厳ある死とは何か」を見事に見せてくれた。家族と共に死を見つめあった1年10ヶ月であった。続く
バックナンバーにつきましてはセンターホームページ「電子ジャーナル配信」
http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
からご覧いただけます。---------------------------------------------------------------------
▼【健康づくりワンポイントアドバイス】
・動脈硬化の原因となる高コレステロール血症の診断基準が緩和方向に改定
平成13年6月8日に開催された日本動脈硬化学会で高脂血症治療ガイドラインの改定案が提示されました。改定案では、健康な日本人が心臓病を防ぐための総コレステロールの上限値を現在の220mg/dlから240mg/dlに引き上げ、その一方、男性なら45歳以上、女性なら55歳以上で、高血圧や喫煙、糖尿病の危険因子が重なるハイリスクの人たちの治療目標は、現行の200mg/dl未満から180mg/dl未満に、より厳しくしたものになりました。
この改定は、わが国の高脂血症患者約5万例を6年間追跡したJ-LIT(Japan LipidIntervention Trial)の結果によるもので、日本人においては冠動脈疾患や総死亡者数がもっとも少ないのは、総コレステロール値は,180?240mg/dlの範囲であることが判明したためです。--------------------------------------------------------------------
▼【兵庫県立健康センターの話題】
・第23回日本健康増進学会トピック:「健康日本21推進フォーラム」の同時開催
第23回日本健康増進学会(http://www.hyogohsc.or.jpの「学会予定」参照)と「健康日本21推進フォーラム」の同時開催が決定しました。
「健康日本21推進フォーラム」(理事長:高久史麿 自治医科大学学長、http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/)は、厚生労働省の長期的な健康推進プロジェクト「21世紀における国民健康づくり運動」(=健康日本21)の支援を目的として設立されました。第23回日本健康増進学会との同時開催では、11月2日に三屋裕子理事(筑波スポーツ科学研究所副所長・元全日本バレーボール選手)の講演を予定しています。---------------------------------------------------------------------
▼【兵庫県内の話題】
・健康ひょうご21県民運動推進協議会設立記念大会を開催
6月27日、神戸文化ホールにおいて「健康ひょうご21県民運動推進会議」設立大会が催されました。
大会に先立って開催された設立総会において、同推進会議の会長に 家森幸男兵庫県健康財団会長が、また副会長に 橋本章男 兵庫県医師会会長がそれぞれ選出されました。
設立大会は、家森会長の挨拶、貝原俊民 兵庫県知事、佐々木憲二 兵庫県議会議長ほかの来賓による祝辞のあと、県立西脇工業高校陸上競技部 大中健嗣君によって健康ひょうご宣言が行われました。
そして、家森会長自ら「みんなで健やかに美しくー世界調査でわかった食事の重要性」と題して基調講演をされ、つづいてNHKの小出五郎氏をコーディネーターに、兵庫県歯科医師会常務理事 豊川輝久氏、兵庫県いずみ会会長 五百井嬉美代氏、県立看護大学助教授 井伊久美子氏、兵庫県健康財団保健検診センター所長 伊藤一夫氏そして当健康センター所長 河村剛史の5人のパネリストによるパネルディスカッションで幕を閉じました。
「健康ひょうご21県民運動推進会議」についてのお問い合せは、
兵庫県健康財団健康づくり部
TEL : (078)579-0166
E-mail : dukuri@kennkozaidann.or.jp
URL : http://www.kennkozaidann.or.jp/・健康スポーツ関連施設連絡協議会がホームページを開設
生涯スポーツ活動及び生活習慣病予防・改善のための運動療法に関する研修を行い、資質の向上を図り、医師会との連絡調整を図り、幅広く人々のスポーツ活動、健康づくり運動をサポートすることを目的として3月8日より活動を始めた「健康スポーツ関連施設連絡協議会」がホームページを開設しました。
アドレスは、
http://www.health-jp.net/
です。2001年6月現在、兵庫県下30施設が加盟しています。------------------------------------------------------------------
▼【お願い】
このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人720件、団体57件の合計777件の方々に送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのマガジンの送付停止につきましては、下記メールアドレスに連絡いただきますようお願い申し上げます。
我々は多くの方々の健康づくりに少しでも寄与できればと考えております。インターネットにつきまして、未熟な我々がメールマガジンを発行できるのも、皆様方のご協力の賜物と感謝いたしております。今後ともご協力、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。**********************************************************************
兵庫県立健康センター
〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
TEL: (078)441-2234
FAX: (078)441-2149
URL: http://www.hyogohsc.or.jp/
mail: mail@hyogohsc.or.jp
**********************************************************************
Copyright (C) 2004 Hyogo Vitual Health Science Center