健康ニュース 2002年5月8日送付 発行部数 1127件
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<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ 兵庫県外の話題
▼ お願い

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▼【TOPニュース】

・兵庫県立健康センター設立20周年を迎えて「健康は、自らを知る生きる喜び」
 貝原益軒(1630-1714)の「養生訓」の中に、「人の身は、わが私の物にあらず、天地のみたまもの(御賜物)。人の命は、養生よくすれば長し、養生せざれば短かし。」と述べております。現在は、生活環境が整い過ぎて、生命長寿が可能な社会環境が整っています。そのために、おのれの命の存在すら忘れた生活をしており、何のために生きているのかという「生きる喜び」を感じない人が多くなっています。
 健康づくりは、常に自分の身体づくりを通して「命を感じる」唯一の方法です。健康は目的ではなく手段です。生命+人生=魂とすれば、健康は「命という白いキャンパス」に人生模様を描く生命力であり、描いた絵が魂です。健康は、おのれの魂が輝くための手段と考えます。

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▼【連載特集】

「あなたは愛する人を救えますか」− 2002年ワールドカップの命の危機管理体制
 兵庫県立健康センター所長
  河村剛史

 いよいよ2002年ワールドカップの開催が目前に迫ってきた。連日の新聞の報道は、昨年の9月11日のアメリカ同時多発テロ以来、どこの国が優勝するか、日本チームの活躍の予想より、「テロ対策」と「フーリガン対策」の2つの危機管理体制について大きく取上げられている。よりによって世界でもっとも危機管理体制の意識の乏しい日本での開催は皮肉な回り合わせである。これを契機に日本の危機管理意識が醸成されることが期待される。
 しかし、現時点での日本の危機管理体制は、集団災害に対するもので、競技場に集まってくる観客の個人個人の命に対する危機管理体制づくりは遅れている。外国からも40万人の観客が日本を訪れるが、観客の中に心臓突然死が起こった場合の救急体制については主催者側の意識が乏しいのが現状である。
 英国には,サッカー競技場の安全管理について法的権限を持って勧告を行うFLA(Football Licensing Authority)という全国組織がある。各サッカー競技場は,FLAのガイドラインに基づいて,専任の安全管理責任者(ground safetyofficer)を置き,災害防止のための安全管理・災害訓練の実施や観客の傷病に対処するcrowd doctorと呼ばれる救急医の待機が義務付けられている。また,競技場の収容人数に応じて待機する救急車の台数,first aider(基本的な心肺蘇生技術を習得した会場係)の数などが決められている。警察,消防,救急および行政の集団災害に対する危機意識が強く,サッカー競技場の安全管理者と関係機関の交流・連携が平素より密で,共同で訓練が行われている。
 サッカー競技場の安全管理には、オフィシャルボランティアの存在がある。フランスワールドカップの会場内では、数千人のオフィシャルボランティアがフィールドに背を向けて観客席に向かって立っており、試合を見ることなく、絶えず観客に目を向けている光景が見られた。観客の安全管理には、多くの監視する目と異常事態発生後にすぐさま通報できる安全監視体制が必要である。
 わが国では FLAに相当する指導的組織がなく,競技主催者が安全管理を担当するのが慣例となっている。神戸会場を例に上げれば、ウイングスタジアム内ではW杯日本組織委員会(JAWOC)神戸支部と神戸市教育委員会ワールドカップ推進室が,会場周辺はワールドカップ推進室が安全管理を担当することになっている。おまけに大会関係者、VIP、選手に対してはJAWOC本部から派遣されたチームが担当する。これらの組織内には英国のような全体を統括する専任の安全管理担当はいないばかりか、日本の悪しき体質である縦割りの安全管理体制であり、事が起これば各担当者同士が責任のなすり合う構図がすでに見えている。
 救急体制に関しては、スタジアムの4つのウイングに1ケ所の救護所(古風な名前である)が設置され、1名の医師と2名の救急救命士が常駐する。各ウイングには10名の警備員が配置されている。しかし、担当する医師は整形外科を専門とするスポーツドクターで、主に外傷を中心とした体制であり、医師は救護所を離れてはいけないことになっている。
 心臓突然死を想定した命の危機管理体制については、今年に入ってようやくJAWOCが各会場に4台の半自動除細動器(AED)を設置し、救急救命士が現場で使用できる体制を作った。神戸会場では、JAWOC側の設置を含め18台のAEDが使用されることになっている。日本では、米国のように訓練を受けた警備員がAEDを使用することが出来ないので、救急救命士が医師の指示のもとで除細動ボタンを押すか、医師が現場に駆けつけて使用することになる。今後、ワールドカップ、オリンピックのような巨大イベントの開催国の選考には、その国の集団災害の危機管理体制と救命救急体制の最低基準を満たすことが要求されることになる。

 続く

バックナンバーにつきましてはセンターホームページ「電子ジャーナル配信」
 http://www.hyogohsc.or.jp/entry/frame.htm
からご覧いただけます。

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▼【健康づくりワンポイントアドバイス】

・高血糖は生体にとって毒である。

 血液中の血糖値は常に膵臓からのインスリン・ホルモンで調整を受けています。脳は他の臓器と異なり、そのエネルギー源はすべてブドウ糖のみで、しかも、脳はエネルギーの蓄積ができず、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンをブドウ糖に変えて供給を受けています。
 一方、ブドウ糖は酸素の存在下で蛋白質と非酵素的反応(糖化といいます)を起こし、糖化蛋白を産生します。糖尿病の診断に使われるHbA1c(ヘモグロビンA1c)も赤血球のヘモグロビン蛋白が糖化作用(グリケーションと言います)を受けたものでHbA1cが多いことは高血糖による糖化蛋白が多く産生されていることを意味します。糖化蛋白の産生時に大量の活性酸素が発生し、この活性酸素が生体に及ぼす影響が糖尿病の本質的な病態です。最終の終末糖化産物(AGEと言います)は血管内皮細胞のレセプターと結合し、動脈硬化を促進させます。膵臓でインスリンを分泌しているβ(ベータ)細胞は活性酸素の障害を特に受けやすくインスリンの分泌の低下を来たし、真の糖尿病に移行します。空腹時血糖の正常の上限は110mg/dlまでですが、境界型糖尿病と言われる糖代謝異常の時期でもすでに糖尿病の病態は進行しています。早期診断と早期予防こそが重要です。
 HbA1cの正常値の上限は5.8%ですが、BMI>25、中性脂肪>150mg/dl、HDL<40mg/dl、高血圧>140/90mmHgの“死の四重奏”候補者には、HbA1c5.5%前後から要注意として生活習慣の見直しを指導しています。

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▼【兵庫県立健康センターの話題】

・兵庫県立健康センター20周年記念事業「健康は、みずからを知る生きる喜び」の開催

 平成14年5月19日(日)午前9:15から午後17:00まで
 ・脊椎ストレッチウォーキング in 住吉川(要予約、無料)
 ・100Kcalカウントダイエット講座(要予約、有料−材料費500円)を中心に特別事業を実施します。
 お申込、お問い合わせは健康センターまで

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▼【兵庫県内の話題】

・「人と防災未来センター」が4月27日からオープンしました。

 阪神淡路大震災を経験した兵庫県は、地震国日本国民に大震災によって学んだ教訓を危機管理意識として後世に伝承する使命があります。1期施設は7階建で、2階から4階が展示部門になっています。入館するとまずエレベータで4階に上がり、1995年1月17日午前5時46分に何が起こったかの疑似体験ができます。ついで3階におりて震災資料の展示と破壊された町並みの再現コーナがあります。最後に2階に下りて、災害や防災の知識を学ぶようになっています。
 詳細についてはセンターのホームページアドレス( http://www.dri.ne.jp/ )を是非ご覧ください。

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▼【兵庫県外の話題】

・第2回日本統合医療学会の開催
 日時:2002年5月11日、12日
 場所:京都府立医科大学付属図書館
 内容:
  シンポジウム「心身医学よりみた統合医療」
  基調講演「21世紀は統合医療の時代になる」
      日本統合医療学会代表
      東京大学名誉教授 渥美和彦
  教育講演「健康を統合的に考える」
      兵庫県立健康センター 所長 河村剛史

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▼【お願い】

 このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人1070件、団体57件の合計1127件の方々に送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのマガジンの送付停止につきましては、下記メールアドレスに連絡いただきますようお願い申し上げます。
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  兵庫県立健康センター
   〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
   TEL: (078)441-2234
   FAX: (078)441-2149
   URL: http://www.hyogohsc.or.jp/
   mail: mail@hyogohsc.or.jp

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