健康ニュース 2003年12月9日送付 発行部数 1322件
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<本号の目次>
▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ 兵庫県外の話題
▼ お願い

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▼【TOPニュース】

・外科医の心得は、「鬼手仏心」
 私が東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所外科に入局した時に榊原仟(しげる)教授が訓示で述べられた言葉である。
 外科医は、鬼の手(米国では神の手)と言われるほどまで手術の技量を磨かなければならない。これは、患者の命を救うためであって、己の技量を過信してはいけない。日頃から患者とは仏の心を持って接する心がけを持つことが、難しい手術に際し、平常心にて“勇気と決断”できる外科医になれると常に戒めています。
 外科手術は、医師免許がなければ傷害罪です。患者が手術で亡くなれば、傷害致死罪です。命を感じる人間(仏の心)であればこそ、執刀医は「怖さ」を感じて手術をしています。
 新しい手術技術の進歩は、従来の手術の限界を知りうるまでに熟達した外科医が「勇気と決断」をもって挑戦すべきものです。

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▼【連載特集】

「あなたは愛する人を救えますか」−日本人に必要な「命の教育」
兵庫県立健康センター 所長
河村 剛史

 今回は、平成15年11月10日に放送されたNHK教育テレビ「視点・論点」で主張した内容の要旨を紹介する。
私が米国に留学中であった、1986年1月22日に行われたダイエー対日立のバレーボールの試合中にフロー・ハイマン選手が突然倒れ、試合が中断することなく、試合会場から担架で運び出されるテレビニュースが米国で放送された。この時、ニュースを見ていた米国人から、「なぜ、日本人は心肺蘇生法をしないのか」との批判を受け、目の前で人が突然、倒れた時、すぐさま救急車を呼び、心肺蘇生法を行うという、米国では当たり前のことが、日本ではなされてないことを痛感した。
 米国では、30年前から中学1年生に保健体育の授業で心肺蘇生法を教えている。目の前で人が倒れたら意識の確認をし、意識がなければ、誰に相談することなく、救急車を呼びなさいという、「命の教育」が、今の日本人に欠けているのである。
 帰国後、兵庫県において、この「命の教育」の重要性を伝えるために、学校を中心に心肺蘇生法の普及を開始した。その後、全国の高等学校教育、自動車学校で心肺蘇生法が教えられるようになり、日本でも心肺蘇生法の名前だけは知られるようになった。日本の心肺蘇生法普及は、ハイマン事故からスタートしたと言っても過言ではない。
 こうした中、2002年11月21日の高円宮さま、23日の福知山および名古屋マラソンでのスポーツ中の心臓突然死事故が相次いで起こり、この事故をきっかけに心臓突然死の原因である心室細動に対して自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)を使用した早期除細動を行うことが必要であるとの社会的認識が高まった。この背景には、2000年8月に全世界に向けて発表された米国心臓協会の心肺蘇生法国際ガイドライン2000が、日本の救急医療体制に大きな影響を与えている。
 国際ガイドライン2000では、心臓突然死の原因は心室細動であるとし、そばにいる人がすぐさまAEDによる除細動を行うことが唯一の救命法であると明記されている。心停止後、1分除細動が遅れるごとに7%〜10%、救命率が減少すると言われ、脳障害を起こさずに救命するためには、心室細動に対して心停止後5分以内にAEDによる早期除細動を行うことが必要である。もし、AEDが身近にない場合には、AEDが到着するまで心臓マッサージのみを行っておれば、除細動が8分以内であれば救命率50%を期待することができる。
 2003年4月から、救急救命士法が改正され、救命士が現場で医師の指示なにし除細動を行うことができるようになった。しかし、救命士が到着して除細動を行うまでの所要時間は、平均8分である。それでは手遅れになる確率が高く、救命士が到着するまでに一般市民は何をすべきか。それが心肺蘇生法である。さらに、2004年からは、一般市民もAEDを使用できるようになる。まさに心室細動は一般市民が救える唯一の心臓病と言える。
 今後のAEDの普及啓発においても、心肺蘇生法の場合と同様に「意識の確認」が最も大切なポイントである。目の前で人が倒れたなら、すぐさま、「大丈夫ですか!」と声をかけ、頬や肩を叩きながら意識の確認を行う。意識(反応)がなければ、すぐさま、「救急車を呼んで!」、「AEDを持って来て!」と叫び、AEDが来るまで、ひたすら心臓マッサージだけを行う。これが、救急隊が到着する前に行う、AEDを使った心肺蘇生法"AED First"「まず、AED」普及運動ある。
 心肺蘇生法は「命の教育」であり、「お互いの命を守る社会づくり」が、これからの高齢社会を支える重要なキーワードになると考えている。

 続く

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▼【健康づくりワンポイントアドバイス】

・忘年会シーズン、お酒を飲んだ後は充分な水分の補給、夜間脱水に要注意。
 アルコール50gの摂取で500から1000mlの尿が排泄します。アルコール自体は適量であれば血液をサラサラにする作用がありますが、飲み過ぎは血液を凝固しやすくします。その原因にアルコールの利用作用があり、飲酒後に水分を要求するのはこのためです。夜間脱水は、血小板の凝集により血液がドロドロになります。
 さらに、アルコールによる大量の排尿により、血液の電解質(ミネラル)バランスが崩れ、特にマグネシウムが不足します。
 虚血性心疾患の中で、早朝に冠動脈の痙攣によって起こる異型狭心症があります。もともと日本人に多い疾患ですが、前日にアルコールを飲んだ翌朝に起こりやすいと言われており、問診では必ず前日のアルコールの摂取の有無を聞くことになっています。
 異型狭心症の特効薬は、カルシウム拮抗薬です。マグネシウムは天然のカルシウム拮抗薬と言われており、飲酒後にマグネシウムの豊富な海洋深層水を飲むことが予防にもなります。
 深酒をしたと反省した時は、一晩中に海洋深層水を1リッター飲み、トイレに行くことが水分充足(脱水解消)の証明になります。

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▼【兵庫県立健康センターの話題】

・平成15年12月10日の放送される「おはよう朝日です」に河村剛史所長出演 「二日酔いは、血液がドロドロ」のテーマで、朝7:30分前後に放送されます。
今回の取材では、朝に2人の男性にビール1リッターを飲んでもらい、3時間後の血流を測定したものです。
 一人の男性は、血液がドロドロになり、それから海洋深層水1リッターを飲んだ2時間後には血液はサラサラになりました。もう一人の男性は、3時間後では血液通過時間の延長はわずかでしたが、さらに2時間の経過では血液がドロドロになりました。アルコールを飲んだ後には、血液は脱水となることが証明できました。

・AED使用したBLS法・プール水難事故救助法実技セミナーの定期開催のご案内
 平成16年度にはAED(自動体外式除細動器)の一般市民の使用が解禁になることを受け、スポーツ指導者を対象とした「AEDおよびバックボードを使用した救助法講習会」を月1回定期的に開催しております。
 講習内容は、AEDを使用したBLS(一次救命処置法)2時間、プールでのバックボードを使用した全脊椎固定救助法(2時間)で、講習最後に実技試験を行い、合格者には健康スポーツ関連施設連絡協議会からの認定修了書を授与いたします。平成15年11月末までに23人の認定を行いました。

≪今後の開催予定日≫
 平成16年1月25日(日)、2月29日(日)、3月21日(日)、4月22日(木)、5月27日(木)、以下、1ヶ月1回ペースで開催します。
≪定員≫
 各10名(先着順)
≪受講料≫
 10,000円
 詳しくは、電話(078-441-2234)またはメール (tanabe@hyogohsc.or.jp)にて担当田邉まで

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▼【兵庫県内の話題】

・兵庫県医師会主催のAED指導者講習会の現在までの実績報告
 2006年の兵庫のじぎく国体開催までに医師会員によるAED購入300台を目指してます。2002年度のAED指導者講習会は9回開催し、204名の参加を得ました。2003年度は11回予定して、現在8回終了していますが、189名の参加を得ています。現在までの参加者合計は392名です。現在までに医師会員が購入したAED購入は、232台となっています。
 次年度からは、2年間の臨床研修必修化がスタートし、研修医はその内の4ヶ月間の救急医療研修にて心肺蘇生法を指導できるまでの技術の取得、AEDの取り扱いの習熟が求められております。
 この影響もあり、医師会員を対象としたAEDを使用したBLS研修コースを都道府県の医師会で開催する動きが出ています。更に、一般市民のAED使用の条件の中に、「医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること。」とされており、医師の立場からも、AED取り扱いに習熟しておかねばならない状況になっています。

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▼【兵庫県外の話題】

・厚生労働省の「非医療従事者による自動体外式除細動(AED)の使用のあり方検討会」
 第1回検討会が平成15年11月18日に開催されました。この検討会は、全て公開性で、委員以外に40名の聴講者が同席いたしました。検討内容は厚生労働省のホームページに掲載されることになっています。
 構造改革特区の第3次提案「非医療従事者による自動体外式除細動(AED)の使用の容認」を受けて、今回の検討委員会が開催される運びになりました。4回の検討会を開催し、平成16年前半に結論を得ることになっています。
 第1回目として、各関係団体の委員間に共通認識をもってもらうために、以下の3氏によるヒアリング講演が行われました。河村剛史兵庫県立健康センター所長にも発言の機会が与えられました。発言内容については、次号に紹介します。

 1)AEDによる救命率への効果とその市民普及啓発について
   兵庫県立健康センター所長 河村剛史
 2)AEDの具体的使用方法と非医療従事者における海外での教育の状況等について
   帝京大学医学部救急医学教室教授 坂本哲也
 3)旅客機における客室乗務員等のAED使用の現状と教育について
   日本航空健康管理室主席医師 大越裕文

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▼【お願い】

 このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人1268件、団体54件の合計1322件の方々に送付させていただきました。誠にお手数ですが貴メールアドレスへのマガジンの送付停止につきましては、下記メールアドレスに連絡いただきますようお願い申し上げます。
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 兵庫県立健康センター
  〒658-0081神戸市東灘区田中町5丁目3番20号
  TEL: (078)441-2234
  FAX: (078)441-2149
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  mail: mail@hyogohsc.or.jp

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