健康ニュース 平成12年2月3日送付 発行部数 447
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<本号の目次>▼ TOPニュース
▼ 連載特集
▼ 健康づくりワンポイントアドバイス
▼ 兵庫県立健康センターの話題
▼ 兵庫県内の話題
▼ 兵庫県外の話題
▼ お願い**********************************************************************
<本文>
---------------------------------------------------------------------▼【TOPニュース】
・ 健康センター所長河村が2月4日(金)に「ワイドABCDE-す」に生出演!!
1月7日に、「ワイドABCDE-す」に家庭でも出来る「肥満解消法について」で出演したところ、視聴率も高く、質問等のファックスも多く、再度、出演の依頼がありました。今回は「運動時の高血圧」を中心に話しをします。是非ご覧いただければ幸せです。
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▼【連載特集】
「あなたは愛する人を救えますか」その7−心肺蘇生法は「心の垣根」を取り除く−
兵庫県立健康センター所長
河村剛史この世に生まれ,医者になった私が,私しか出来ないものは何か,何にプライドを持つか,人生とはこの生き甲斐を求めて今を生きているような気がする.商売人の家に生まれた私が,毎日見ていた父親の姿,それは店で物を買ってもらったお客に「有り難うございます」と頭を下げる姿であった.人一倍負けん気の強かった私にとって,店にお使いに来た同級生にも頭を下げる父親がいやで仕方がなかった.小学校5年生の時に一家が神戸に引っ越してからは店と自宅とが離れており,それ以後は父親の商売の姿を見ることはなく,普通のサラリーマンと同じ生活を送っていた.
私は,世の為,人の為に医者になろうとした訳でなく,ただ頭を下げずに出来る職業であれば何でも良かったのである.高校2年生の時,「大学行くなら経済学部か商学部に行って商売を継いで欲しい」と父親の頼みを聞いた時,父親が怒ることを覚悟で,「僕は,10円の物に頭を下げる商売はやりたくない」「自分は医者になるのだ」と答えた.意外にも父親は,どうしょうもない奴だと言った表情で怒りもせずに,「10円の物に頭を下げることが出来ない人間が立派な医者になれない」と言い切った.皮肉なことにこの父親との会話は,私の脳の奥深くに沈み込み,その後心肺蘇生法の市民普及のための講演活動を行うまで25年間思い出すことはなかった.
アメリカ留学中の1986年1月13日の松江で行われたダイエー対日立の試合中,控えのベンチに座っていたフロー・ハイマン選手が突然倒れたにもかかわらず,タイムになることなく試合は続けられ,担架で運び出される光景がテレビニュースで映し出された.「目の前で人が倒れたなら,意識の確認を行い,意識がなければ救急車を呼びなさい」と中学生の保健体育の授業で教えているアメリカ国民には,「なぜ,日本人は心肺蘇生法をしないのか」と批判を受け,日本人の「命の教育」のなさを痛感した.
帰国後,心肺蘇生法の普及活動を通して学校教育での「命の教育」の重要性を訴え続けた.この10年間,800回にわたる普及活動で学んだことは,人との接し方であった.本当に大切なことを信念をもって訴えるには,医者ではなくただの人間にならなければ誰も耳を傾けてはくれないことを学んだ.今ではだだの人間であることに満足感しており,むしろ誇りにも思っている.
ある日のこと,姫路駅前で托鉢修行をしている僧侶がお経を唱えて立っている姿を何気なく眺めていた.通りがかりの老女が僧侶の左手に持っていたお鉢にお布施のお金を入れたその時に,なんと深々と頭を下げた僧侶の姿の中に,思ってもいなかった父親の姿が見えた気がした.民衆に説法を説く高僧であればこそ,民衆からの心ばかりのお布施に頭を下げた姿は,皆,同じ人間であると行為で示す姿に思えた.物を買ってもらい,代金を受け取り,感謝する商売人の当然の行為を蔑んでいた過去の自分を恥じた.今なら10円の物に頭を下げることに何の戸惑いもない自分がある.
心肺蘇生法を普及する者として社会に何が貢献出来るか.その答えに迷いはなかった.それは「目の前で倒れた人を絶対助ける」ことを1人で行うボランティアと決めたことである.道を歩いている時も,すれ違う人の顔の様子がよく見えるようになった.心肺蘇生法に対する絶対的自信と医師としての誇りは,いつしか誰か倒れていないかなと期待するまでになった.どの人であっても,様子がおかしければ「どうしたのですか?」と声をかけられるようになった.相手の命を感じることは,お互いに“心の垣根”がなくなることである.いつしか,どの人とでも自然体で話せる自分が誕生していた.
当世の無関心社会では,道を歩いていても自分の周りの様子に気を止めることのない人が多い.目の不自由な人が交差点にさしかかっても,足の不自由な人が階段を上がっていても,気もつかない人がいる.道で人が倒れた時,誰も声もかけられず死んでゆくほど悲しいことはない.声をかける行為こそが無関心社会を打ち破るものである.今の社会に求められていることは,まず「気に止め,見守る社会」であり,次いで「お互いの命を守る社会」へと成熟して行かなければならない.続く
バックナンバーにつきましてはセンターホームページ資料ボックス
http://www.hyogohsc.or.jp/box/frame.htm
からご覧いただけます。---------------------------------------------------------------------
▼【健康づくりワンポイントアドバイス】・ 2月4日の「ワイドABCDE-す」で話題に取り上げる「運動時の高血圧」は、動脈硬化年齢と言われる男性45歳,女性55歳以上の中高年では息が切れる運動強度では血圧が200前後まで上昇することを強調しています。階段を急いで上がった時の息切れは、実は血圧が急激に上昇し,心臓に負担がかかった時の症状です。注意してください。
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▼【センターの話題】・ 平成12年度健康教室生募集開始
2月1日より平成12年度健康教室生の募集行っています。
詳しくはホームページ
http://www.hyogohsc.or.jp/ のTOP1をご覧ください。・ 『介護者のための健康づくり講座』の参加者募集中
本年4月からの介護保健制度がスタートし,いよいよ日本において要介護者の公的>支援が行われるようになります。これに伴い、兵庫県立健康センターにおいて、2月10日(木)に「家庭介護者のための健康づくり講座」を開催します。介護者を介した要介護者の自立意欲の支援をしたいと考えています。参加希望の方は兵庫県立健康センターまでご連絡ください。【日程】 2000年2月10日(木)/19日(土) 午後2時〜午後4時 ※両日とも要予約
【料金】 3,000円(1回)
【定員】 30名(先着順)
【申込】 氏名・住所・電話番号・年齢・受講希望日を明記の上、当センター受付・E-Mail またはお電話にてお申し込み下さい。E-Mail oomae@hyogohsc.or.jp---------------------------------------------------------------------
▼【兵庫県内の話題】・ 兵庫県教育委員会は平成12年度から5年計画で県内の全小学校区単位に「地域スポーツクラブ」を設立します。将来はヨーロッパなどにある地域に根付いた住民参加型のスポーツクラブで、少子高齢化による児童数の減少に伴う余裕教室の有効活用と地域コミュニティの希薄化対策を・nbsp;わせもったユニークな試みと注目されています。
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▼【兵庫県外の話題】・ 首相の諮問機関である科学技術会議「生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会」は>胚性幹細胞(万能細胞)の研究を容認しました。21世紀は遺伝子の世紀と言われ、2003年には人間の全遺伝子情報の解明(ゲノム解析)が終了し、遺伝子診断,治療の時代に入る。もう1つの医学の発展は再生医学と言われ、20世紀の移植医療に代わり受精卵からの分裂初期の胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell;ES細胞)を使った神経、心臓,肝臓,血液などの再生臓器が治療に使われる時代のスタートです。しかし、不妊治療に使われなくなった人間の受精卵(生命の始まり)でありおろそかにしている「命の倫理」問題がますます混乱する世の中になりような予感がします。
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▼【お願い】このメールマガジンは、健康づくりをテーマに兵庫県立健康センターが編集し、不定期(月1回程度)に発行します。本号は個人396件、団体51件の合計447件の方々にご送付させていただきました。
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