コレステロール低下薬(スタチン)はユビキノン(CoQ10)の合成も抑える

 


 高コレステロール血症は動脈硬化の原因であり、虚血性心疾患の危険因子として見なされ、コレステロールを下げるスタチン系薬剤は世界および国内での売り上げがNo1となっています。

  専門的になりますが、コレステロールは肝臓においてアセチルCoA→メバロン酸→ファネシル2リン酸→→→コレステロールの代謝を受けて合成されます。スタチン系薬剤はアセチルCoA→メバロン酸の経路を阻害する薬剤です。

  メバロン酸の産生を抑えることは、もう一つの重要な代謝経路であるファネシル2リン酸→ユビキノン(CoQ10)の合成も阻害することになります。

  ユビキノン(CoQ10)は、細胞内のミトコンドリア内でエネルギー(ATP)を産生する電子伝達系の不可欠な構成成分で、これが不足するとエネルギー産生が低下し、細胞のエネルギー代謝の低下が起こります。

  ユビキノンは日本において医薬品として25年以上前から心臓疾患の治療(1974年)、筋ジストロフィーの治療、歯肉疾患、歯周病の改善、乳がん、パーキンソン病の予防などに使われていましたが、米国では、医薬品のみならず栄養補助食品として10年以上販売されており、その間特に副作用は報告されておらず、高い安全性が認められています。

  ユビキノンの合成量は、加齢に伴い減少し、臓器の機能低下や免疫力の低下を来たすと言われています。また、ストレスや肥満などでも減少します。

  日本においても2001年から栄養補助食品として販売され、細胞の若返り食品、化粧品として関心が高まっています。

  ユビキノンが細胞活性を高める若返り薬ならば、逆にスタチン系薬はユビキノンの合成を抑える老化薬ということになります。

  高コレステロール血症、年齢以外に危険因子を持っていない人に対して動脈硬化、心筋梗塞予防のための予防的スタチン系薬剤の投与は今後、見直される時期に来ていると考えます。



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