フランスの虚血性心疾患による死亡率は、同じ肉食文化を持っているアメリカと比べて約2分の1であることから、“French paradox”と言われ、赤ワインが虚血性心疾患を予防するという健康神話が生まれ、日本でも赤ワインを飲む愛好家が増加しました。
このほど循環器疾患の専門誌「Circulation」にアメリカ心臓協会(AHA)の公式見解が発表されました。赤ワインに含まれるポリフェノールは、実験的には血中の動脈硬化を防止する善玉コレステロール(HDL)を増加させ、リポ蛋白の酸化を防止する抗酸化作用があることは証明されていますが、赤ワインを飲めば虚血性心疾患を予防するという前向き大規模調査はなされていません。
フランスで虚血性心疾患が少ないのは、ワイン飲酒者が野菜、果物、魚の摂取が多いなどの理由も考えられ、逆にアルコール摂取が多くなると高血圧や脳卒中の危険性を高めます。虚血性心疾患の予防目的のために赤ワインを飲むことを進めるべきではないと忠告しております。