心臓突然死の原因には、急性冠症候群と交感神経緊張による血中遊離脂肪酸の増加が考えられています。最近、急性冠症候群という言葉が医学界では盛んに使われるようになりました。
死亡した急性心筋梗塞患者の原因となった冠動脈病変を調べてみた結果、70%の患者の冠動脈狭窄が50%以下であるという意外な結果がみられました。50%以下の冠動脈狭窄では、激しい運動でも冠動脈内の血流が狭窄により相対的に減少することはなく、運動時狭心痛もなく、まったくの無症状です。
冠危険因子(高脂血症、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙など)を持っている人は、冠血管内膜下にLDLコレステロールが蓄積したプラークが内腔に膨隆している可能性が高い。時にそのプラーク膜が破裂して、一気に冠動脈内血栓によって冠動脈内閉塞が起こり、心筋梗塞に陥ります。中には心臓突然死にいたる場合もあります。
慢性的に徐々に冠動脈狭窄が進行している労作時狭心症は安定狭心症といわれる所以は、プラークが破裂することがないからです。また、狭窄部位が完全閉塞になっても、徐々に進行している場合には心筋虚血部位に近傍の冠血管からの副血行路が形成されており、心筋梗塞にはならない場合が多いようです。
最近の研究論文では、冠危険因子を持っている人は、若年者でも冠動脈にプラークが見られており、冠危険因子の修正が早急に必要です。