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エアロビック運動愛好家の喫煙と心肺機能について

 


 マラソンの世界で以前,血液ドーピングの違反が問題になったことがあります。これは競技中の酸素運搬量を増やすために,数ヶ月前から採血をし、造血機能を高め,さらに試合直前に再自己輸血することにより赤血球数を増やす違法行為です。オリッピックランナーは、これを合法的に行うために3000m級の空気の薄い高地トレーニングを行い、必死に赤血球を増やす努力をしています。
 
  ヘビースモーカーに、赤血球の多い多血症が多く見られる理由は、喫煙時の吸入する一酸化炭素(CO)がヘモグロビン(Hb)と結合してCOHbとなり、酸素運搬能力がなくなるためです。ご存知の様に一酸化炭素中毒では死亡します。全ヘモグロビンの10%程度では死にいたることはありませんが、喫煙により酸素運搬能を持たない赤血球を増やしているわけですから貧血状態で運動していることになります。
 
  喫煙は、競技スポーツ、健康づくり運動の関係なく運動効果を相殺してしまいます。



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